豪ドル/円相場は、10月25日の83.48円をピークに、足元では82~83円水準での取引になっている。豪経済に関する独自材料に乏しい中、円サイド主導の展開になっている。10月中旬は日本銀行の追加緩和期待で豪ドル高というよりも円安圧力が強くなった。ただ、実際の金融政策決定会合後には円が反発傾向を強めていることで、豪ドル/円相場の地合も悪化している。
11月6日にはオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)金融政策決定会合が開催されるが、政策変更は見送られるとの見方が支配的。5月と6月、更に今月で合計1.00%もの大幅利下げを実施した効果を見極めるスタンスと見られる。足元の中国経済指標に対する過度の懸念も後退する中、政策変更を急ぐ必要はないと見られる。7~9月の消費者物価指数(CPI)が前年同期比+2.0%と比較的高いレベルになったこともあり、大きな政策変更は行いづらい状況になっている。こうした政策環境が、豪ドルの短期的な下落余地を限定しよう。
もっとも、日本銀行の資産購入拡大幅が11兆円と市場予測との比較でサプライズ感が乏しかったことで、円安圧力が後退していることが、豪ドル/円相場の上昇余地も限定しよう。日銀が他中銀の後追い以上の政策対応を行う意思を有していないことが再確認される中、円安圧力は一服せざるを得ない。来週は米大統領選挙、中国党大会という大きなイベントリスクも控える中、現行価格水準で膠着気味の展開を想定せざるを得ない。
今後1週間の予想レンジは、81.00~84.00円。